オスカーの出生にまつわる秘密……。
それが父母の愛を破局に導き、思いがけない悲劇を呼び寄せた。
母を亡くしたオスカーと父グスタフのあてどもない旅が始まる。
名作「トーマの心臓」番外篇表題作ほか、戦時下のパリで世界の汚れを背負った少年の聖なる怪物性を描いた「エッグ・スタンド」、翼ある天使への進化を夢想する「天使の擬態」など、問題作3篇を収録。
オスカーの出生にまつわる秘密……。
それが父母の愛を破局に導き、思いがけない悲劇を呼び寄せた。
母を亡くしたオスカーと父グスタフのあてどもない旅が始まる。
名作「トーマの心臓」番外篇表題作ほか、戦時下のパリで世界の汚れを背負った少年の聖なる怪物性を描いた「エッグ・スタンド」、翼ある天使への進化を夢想する「天使の擬態」など、問題作3篇を収録。
コメント
訪問者 (1) (小学館文庫 はA 4)
訪問者 (1) (小学館文庫 はA 4)
無償の愛って親から子だけでなく、
子から親にもあるんだな、と思った。
受け入れてもらえなかった最後の涙が切ない。
訪問者 (1) (小学館文庫 はA 4)
こっちのほうが好きかもしれない。
「エッグ・スタンド」も好き。
訪問者 (1) (小学館文庫 はA 4)
訪問者 (1) (小学館文庫 はA 4)
大人っぽい眼をするこどもは、それだけの理由があるのです。
何処か傷を負った子ども達が集まる場所ってあるのですね。
気が付いて欲しいとささやかな彼の願いに、考えさせられます。
訪問者 (1) (小学館文庫 はA 4)
それだけ作者に覚悟があるということなんだろう。
子どもとして、親として、恋人として…
細かな描写に何度も何度も衝撃を受ける。
あの大作につながる短編が一遍載っている。
人にはみな人生があって、たとえある物語では片隅にいる人物であっても、必ずその人の物語がある。
人生がある。
訪問者 (1) (小学館文庫 はA 4)
表題作、『エッグ・スタンド』、脇を固める『城』と『天使の擬態』、いずれも傑作・大傑作。
訪問者 (1) (小学館文庫 はA 4)
「訪問者」は、『トーマの心臓』の番外編で、シュロッターベッツにやってくる前のオスカー・ライザーとその父親の物語です。
写真家の父のグスタフ・ライザーは、オスカーが自分の息子ではないという事実に感づきながらも、そのことに向きあう勇気のない男としてえがかれています。
彼は、妻とのあいだにその件をもち出すことを避けつづけ、最後には妻を殺害してしまいます。
やがて刑事が彼に疑いの目を向けはじめます。
しかし、グスタフ以上に心に大きな負担をあたえられることになったのはオスカーでした。
オスカーは、父と母と自分の関係が家族というまとまりをうしなってしまっていることに気づきながらも、家族でありたいと願いつづけ、逃避行をつづける父と行動をともにします。
「城」は、両親が離婚し父に引きとられることになったラドクリフという少年の物語です。
なかなか友人のできない彼ですが、同じクラスのアダムという親切な少年と、その友人で不良学生のオシアンと過ごす時間が多くなります。
ところが、ラドクリフは偶然にも、キャルガリ先生の若妻メディーナとオシアンが不倫をしていることを知ってしまい、そのことがきっかけで、彼は人間の心の複雑さを知ることになります。
「エッグ・スタンド」は、第二次世界大戦でドイツの占領下にあるフランスが舞台の物語です。
キャバレー「花うさぎ」で働くルイーズというユダヤ人の娘は、ラウルという身寄りのない少年を引きとります。
ところが、彼女の店に現われた、レジスタンス運動の闘士であるマルシャンという青年が、ロゴスキーという協力者の死をきっかけに、ラウルに疑いの目を向けるようになります。
やがてマルシャンは、戦争のなかでしか生きられない少年の心を知り、みずからの手でラウルの運命に結末をくだすことを決意します。
「天使の擬態」は、ヨコハマアドリア女子学園に通う有栖川次子(ありすがわ・つぎこ)と、生物学の新任教師・織田四郎(おだ・しろう)の物語です。
次子が自殺未遂事件を起こしたことがきっかけで二人は知りあいます。
ストーリーは次子が中心となって展開していき、やがて四郎が次子のかかえている心の傷を知るようになります。
訪問者 (1) (小学館文庫 はA 4)
ヨーロッパを舞台にした、父親と息子の物語など、3編を収録。
『訪問者』が好きです。
訪問者 (1) (小学館文庫 はA 4)
表題作はおもしろいけど、他の作品が微妙だったので、星一個減らしました。
訪問者 (1) (小学館文庫 はA 4)
表題の短編集です。
子どもって強く育つんだなとしみじみ。
。
。
訪問者 (1) (小学館文庫 はA 4)
どのくらい好きかって言うと、何度見てもきゅんとしちゃうからもういっそ見ないようにしてるくらい好き。
人間てみんな脆いけどその分とっても優しい。
作者あとがきの「親子のギャップ」話は、初めて読んだ思春期のころも大きくなった今も変わらず身につまされるなあ。
この本は私の宝物です。
訪問者 (1) (小学館文庫 はA 4)
買った日:
買った所:BOOK・OFF武蔵新城店
値 段:\\105
訪問者 (1) (小学館文庫 はA 4)
この物語を読んでから「トーマ…」を読んだら、オスカーを見る目が変わりました。
訪問者 (1) (小学館文庫 はA 4)
その他短編がいくつか。
訪問者 (1) (小学館文庫 はA 4)
最後の一ページで胸が詰まって泣きそうになった。
思わずトーマの心臓を引っ張りだしてきて、成長したオスカーが健やかに暮らしているのを確かめちゃった。
訪問者 (1) (小学館文庫 はA 4)
何度読んでもラストシーンで泣いてしまう。
子供はみんな許される、大事な、家の中にいてしかるべき存在なのに。
「エッグスタンド」の「みんな戦争に愛されてるみたいだ」ってモノローグも印象深い。
訪問者 (1) (小学館文庫 はA 4)
「訪問者」は読んでいる間、オスカーって聞いたことあるような…うーん何だったっけ…とぼんやり思ってましたがユリスモールが出てきてようやく思い出しました。
そうか、「トーマの心臓」の前日譚か。
ずいぶん前に一度読んだきりのはずなのに印象に残っているものだ。
訪問者 (1) (小学館文庫 はA 4)
萩尾さんの漫画のモノローグには印象的なものが多いと思うけれど、中でも「訪問者」のオスカーのモノローグを思い返すことが多い。
”あの家のなしの花もいまは満開だろうね”
何ともいえませんな・・・。
訪問者 (1) (小学館文庫 はA 4)
また何年かたって読み返すと全然違う印象になるんだろうな。
ってかせつなすぎる。
こういう話には特に弱いんです。
トーマの心臓も読み直さなきゃ!
訪問者 (1) (小学館文庫 はA 4)
志賀直哉の『暗夜行路』なんて、捨てちゃいなさい。
かわりにこの『訪問者』を教科書に載せたらいい。
その前にまず、閣僚はみんな読んで、原稿用紙10枚以上の感想文提出のこと(女性閣僚は『イグアナの娘』で)。
(長山靖生「萩尾望都がいる」256p)
実際、『訪問者』を読むと、たいていの父親は泣きます。
中学生以下の息子がいる父だと百発百中。
(同257p)
萩尾望都は、やっと親離れが出来始めたと感じた80年代から親子問題を描き始めます。
(『メッシュ』『半神』『イグアナの娘』『残酷な神が支配する』)「訪問者」はその最初の作品です(1980)。
「トーマの心臓」(1974)でひとり大人びた雰囲気で、トーマとは違う方法でユリスモールを守り、でも自らはギムナジウム校長の実子であるという葛藤を抱えていたオスカー・ライザーの、学校に来るまでの数年前の物語です。
私に息子はいないので泣きませんでした。
実際、百発百中なのか?聞いてみたい気がします。
ある時‥‥雪の上に足跡を残して神さまがきた。
そして森の動物をたくさん殺している狩人に会った。
「お前の家は?」と神さまは言った。
「あそこです」と狩人は答えた。
「ではそこへ行こう」裁きを行うために。
神さまか家に行くと、家の中にみどり子が眠っていた。
それで神さまは裁くのをやめて、きた道を帰っていった。
冬ごとに
ぼくは雪の上に神さまの足跡をさがした。
ーーたいせつなものが
この世にはあるのですーー
子どもは、特に男の子は家庭の親父のダメなところは何もかもがわかって、それでも親父を守ってきたけど、その気持ちは父親には伝わらない。
ー親父からは、ぼくが裁きをなす神さまに見えていたというのか?
ギムナジウムに来るまでの1年間、オスカーと父親はどんな旅をしたのだろう。
とふと思ってこの作品を書いたと、30年ほど前に萩尾望都のインタビューを読んだことがある。
それどころか、B5版のコミック発売ではなく、100pだけの上製単行本の漫画が初めて発売されるという冒険を行ったのがこの本だった。
そしてそういう漫画を私が初めて買ったのがこの本だった。
コミックスさえ、古本でしか買わない私にとっては大事件だった。
それでも、「トーマの心臓」と同じで、結局私は力作だとは思ったけれども、泣きはしなかったし、オスカー目線でしか読めなかったこともあり、そんなに名作とも思わなかった。
あれから30年。
改めて読むと、父親目線で読むと、よくもまぁ親子心中をしなかったな、とか、どうやって旅の金を工面したのだろうか?とか、第二次世界大戦の影があちこちにまだ残ってるんだな、とか、南米に行って、息子に手紙を書く約束をしたことで、おそらく彼グスタフは人生が救われているな、とか、いろいろ思った。
今更ながら、これは裏『トーマの心臓』なのだとも思った。
まぁ閣僚に読ませてもムダだとは思うけどね。
訪問者 (1) (小学館文庫 はA 4)
萩尾望都の短編。
2次大戦中の占領下のパリが舞台。
キャバレーの踊り子、少年、レジスタンス。
萩尾作品の中でかなり好きな話。
ひとつひとつのシーンが夢のように張り付いてくる。
すごい完成度だと思う。
救いが無い事がよくとりあげられているけど、
そうかな?と思う。
確かに救いの無い話かもしれないけど、
読んでいてみょうにすうっとするのはどうしてなんだろ。
救いの無さをあんなやさしいかきかたをしてくれる
ってのが救いなんじゃないだろうか。
なんて思ったり。
わたしは、切なく夜道を目隠しで走って明日は無いと
いうような少年少女が好きで好きでたまらないんだけど、
原点はこの辺かもなあと思う。
訪問者 (1) (小学館文庫 はA 4)
買った日:
買った所:BOOK・OFF武蔵新城店
値 段:\\\\\\\\105
売った日:2009/01/12
売った所:BOOK・OFF向ヶ丘遊園駅前店
値 段:\\\\\\\\40
登録日:2007/05/07 01:14:41
訪問者 (1) (小学館文庫 はA 4)
「トーマの心臓」の番外編で、オスカーの幼い頃が描かれる表題作を含む4篇から成る。
オスカーが抱く寂しさに思わず涙。
訪問者 (1) (小学館文庫 はA 4)
最初読んだ時は自分自身幼くてよく分からなかったのですが、年を重ねてじっくり読む毎に段々泣けてきました。
訪問者 (1) (小学館文庫 はA 4)
もちろんトーマの心臓を読んだあとに読んでいただきたい。
オスカーがもっと好きになる。
(わたしはなった)
訪問者 (1) (小学館文庫 はA 4)
萩尾先生のすべての作品に言えることですが、もう、なんでこんなに面白いんだろう!
とため息しきりです。
訪問者 (1) (小学館文庫 はA 4)
▼父グスタフとの逃避行に至福の喜びを感じる少年オスカー。
出生の秘密や母の死因の真実を察しながらも、自分がそれを言い出さなければ今の生活が保証されると思う感受性を、きめ細かく柔らかい筆致で描きあげています。
▼愛蔵版で持つのが吉。
訪問者 (1) (小学館文庫 はA 4)
全ての作品のテーマが重たいと感じますが、現在ではなかなかこのような作品を探すのは難しいと思います。
そんなお話がたくさん詰まっています。
テーマが重たく感じますが、全てのお話の舞台がどこかの外国なので、映画を見ているような感覚になります。
心理描写がイラストで表現されているので、なんとも言えぬおもむきがあります。
訪問者 (1) (小学館文庫 はA 4)
それほど面白くはなかった
訪問者 (1) (小学館文庫 はA 4)
ふしぎな旅に出た子どもとお父さん。
語られることのないお父さんの気持ちと、
語られるオスカーの気持ちが悲しくて。
訪問者 (1) (小学館文庫 はA 4)
オスカーにもこんな頃があったのか、と思った。
かっこいいオスカーも好きだけど、弱い過去もいい。
訪問者 (1) (小学館文庫 はA 4)
どれも切ないというキーワードが共通している(2007.3.16)
訪問者 (1) (小学館文庫 はA 4)
オスカー、あなたって子は・・・!
もう・・・結婚して。
訪問者 (1) (小学館文庫 はA 4)
「あなたが神だとしても、子供がいる家には来てはいけないんだよ…」母を殺した父を必死に庇う少年。
暖かいはずの家庭を、愛おしい記憶を、不器用な父を守ろうと必死になるその姿の愛おしさと切なさ。
世界を放浪せざるをえない、魂の放浪者であるフリーカメラマンの父も、その父を引き止めるために母が犯した罪もなんとも人間臭く、切なく胸に響く。
訪問者 (1) (小学館文庫 はA 4)
欲しいものが得られないときに、孤独を感じる。
オスカーの愛情の求める先を知ると、後の「トーマの心臓」で一層切ない気持ちを抱く。
求める先が神なら尚さら祈らずにはいられない。
訪問者 (1) (小学館文庫 はA 4)
オスカーが大人にならなければならなかった理由。
訪問者 (1) (小学館文庫 はA 4)
「親から子」だけではなく「子から親」っていうのもあるんだよね
訪問者 (1) (小学館文庫 はA 4)
雪の上を
歩いてくる
神さまは
それは
ぼくの顔をしていたの?
(訪問者/城/エッグ・スタンド/天使の擬態)
訪問者 (1) (小学館文庫 はA 4)
オスカー好きとしては嬉しい外伝だけど、読んでいて胸が痛くなるお話です。
幼少期のオスカーは可愛らしいという印象で、そこからあのカッコイイオスカーになることを想像すると、取り残された環境であっても強く生き続けたんだなぁと、しみじみと感動します。
「親子の愛」がテーマでもあるので、子供を持つ人におすすめしたい。
「訪問者」という題名も、読み終わってみると考え深いものになります。
他の三作も面白く、哲学、宗教、愛を含んだ読み応えある文学的な物語です。
訪問者 (1) (小学館文庫 はA 4)
(笑)「エッグスタンド」衝撃を受けたのは本当に久しぶり…!
“誰がおまえを裁くだろう?愛と殺人を同じだというおまえを?”改めて萩尾先生の凄さを感じました。
訪問者 (1) (小学館文庫 はA 4)
ひたひたと哀しいお話でした。
オスカーの切実な願いと、諦観と絶望が痛いほどに切ないです。
妻と息子への愛情と、疑惑と罪の意識の狭間でグスタフが追い詰められていく様が、淡々とリアルに描かれています。
またオスカーが聡い子で、薄々とそんな父のことを気付いていて、ずっと不安を抱えていて、それでも愛されたいと必死でしがみついていこうとするのが泣けてきます。
段々と憔悴していくグスタフの姿が、蹲るグスタフの背中を見てると遣り切れない気持ちで一杯になります。
父親のそんな姿を見なきゃいけないのも哀しいことながら、父を最も追い詰めていたのは自分の存在自体だったんだと気付いたときのオスカーの衝撃と哀しみが、痛すぎます。
自分の居場所を見つけられなかったオスカーが、父が話してくれた神様の話で、自分が家の中の子供かもしれないと希望を抱いていたのに、あんな形でそれを奪われてしまうなんて哀しすぎる。
こんな話が描けるなんてすごい…!
と思いました。
本当に、萩尾さんの描く世界は怖ろしいほどのリアルさと、非現実的な綺麗さが同居してるんだなあと……これに出会えてよかった…!
と思うほど、大好きな作品です。
訪問者 (1) (小学館文庫 はA 4)